mooの雑記 FC2ブログ
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僕の彼女 16
相変わらずメールマガジン
そのまま転載だけど。
って言うか、今日は新しい記事
書く時間がないし疲れちゃったよ。
早く寝なきゃ。
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こんにちは、mooです。
そして初めましての方は宜しくお願いします。
初めての方は、まず第一話から読んでもらえると嬉しいです。
バックナンバーはこちら。
http://moox.or.tp/fnikki/

今回からそろそろ少しずつ二人の関係が
進展していきそうな感じです。
でもまずは早速喧嘩です。
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僕の彼女 16

大好きな彼女を泣かせてしまった。
それはまだ僕が彼女に想いを伝えられず、
ただ意地悪をして気を引こうとしていた頃のこと。
そんなことをしていても彼女の気を引けないことは
わかっていたはずなのに、僕にはそれしかできなかった。
その時も僕はいつもの調子で彼女に意地悪をしていた。
僕には、取り立てて悪い事をしたつもりはなかった。
ただいつもの意地悪をいつもの様にしたはずだった。
でも、彼女にとってそれは耐えがたい事だったのかもしれない。
僕がそれに気づいたのは、彼女が涙をこぼしたあとだった。

その日、僕は彼女といっしょに映画を見ていた。
「直も映画みたい?」
と彼女に言われた。
それは、一緒に映画を見ようという彼女なりの言葉だった。
僕には断る理由があるはずもなく、迷わず誘いを受けた。
そして僕達は二人だけで地下室に向かった。
彼女の家の地下室。
その部屋はただの地下室なんかじゃない、
まさに映画館と呼ぶに相応しい部屋だ。
その部屋には当然窓もなく、
薄暗いオレンジ色の照明だけが部屋を照らし出している。
部屋に入ると一番に目にとびこんでくるのは、
いつもあの大きな白いスクリーンだ。
小さな映画館のそれよりも幾分大きく感じるほどの大きさだ。
そして部屋を囲む様に壁に取り付けられた
大きな無数のスピーカーが印象的な部屋だ。
巨大なスクリーンのおかげで
無駄に広い部屋の真中の特等席に
ソファが並べられている。
僕はここで映画を見るのは初めてじゃない。
僕が面白いビデオやDVDを手に入れたとき、
または彼女が買ってもらったときに、
何度もここで一緒に見ていた。
こうやって二人で映画を見るのはいつものことだった。
その日もいつもの様に地下室に降りてきた。
「ところで、何を見るの?」
僕は一足先にソファに座ってから尋ねた。
彼女はスクリーンとは反対側の壁際にある
大量のDVDが収納された棚の前で、
目的のものを探していた。
「え~っとね…」
彼女はそう言ったきり黙りこんでしまった。
彼女は自分の伸長よりも高い棚の上の方を見上げて
きょろきょろしていた。
「見付からないの??」
と聞いた。
「うん…。どこにあるか知らない??」
と彼女は僕に聞いてきた。
何を見たいのかわからないのに、
それがどこにしまってあるかなんて
僕が知るはずもなかった。
でも、僕にもひとつだけわかることがあった。
「もっと下の方にあるんじゃない?」
ということだ。
比較的長身の叔父さんでもなかなか手の届かない
棚の上の方に、彼女の見たがるようなものが
しまってあるはずがないんだ。
彼女の見たがるものは小柄な彼女でも手の届く高さに
しまってあるんだ。
昔、叔父さんがそう言っていた。
僕がそう言ってあげた直後、彼女は目の前の棚から
一枚のDVDを引っ張りだした。
灯台下暗し、そんな諺があるとはいうものの、
すぐ目の前にあることに気づかず、
見当違いのところを探し続ける彼女のボケっぷりが
可愛いんだ、なんて思ってしまうのは僕だけなのだろうか。
「これだよ、これ」
彼女はそう言いながら、わざわざ僕のところまで
嬉しそうにぱたぱた走って持ってきてくれた。
きっとこれを見るのがそんなに楽しみだったんだろう。
でも、パッケージを見た僕の口から
思わず言葉が漏れてしまった。
それも少し飽きれてしまったような口調で。
「またこれ見るの??」
それは彼女の大のお気に入りのアニメだった。
僕も好きだったから、彼女と一緒に何度も見たことがある。
でも、あまりに何度も見過ぎちゃうと
飽きてしまうんだからしかたがない。
それにもかかわらず、彼女は嬉しそうににこにこするほど
見るのが楽しみらしい。
それほど好きなんだろう。
僕の言葉はそんな彼女のご機嫌を損ねてしまったらしい。
「嫌だったら帰れば良いでしょ!?
私一人で見るもん!」
僕は慌てて弁解した。
「いや、そうじゃなくって、
美奈は本当にそれが好きなんだね~って思って…」
彼女の睨むような視線を見れば、
全然ごまかしきれていないことは明らかだった。
「ふ~ん…まぁ別に良いけど~」
彼女はそう言いながら、再び後ろの壁の方に戻り、
DVDをプレーヤーにセットした。

結局僕も一緒に見ることにしたけれど、
始まってみるとやはり何度も見たことのあるストーリーだった。
いまではもう昔のように集中して見ることは
無理というものだった。
ところが、彼女はそうでもないらしい。
ふと僕のすぐ隣に座っている彼女の方を見てみると
目はスクリーンに釘付けだった。
そんな、少し一人で退屈してしまっているときだった。
僕の目にティッシュが飛び込んできた。
そして思い付かなくても良いことを思い付いてしまったんだ。
僕はティッシュを一枚とると、
くるくるねじって先端を細長く尖らせた。
所謂紙撚りというものだ。
これは鼻に押し込みくしゃみをさせるための
どうでもいい発明だということはあまりに常識的なことだが、
僕はいまだにこれの威力を信じられないでいる。
そんなとき、ふと彼女の視線に気づいた。
いつのまにか一部始終を見られていたらしい。
「何してるの?」
と彼女に聞かれた。
「これって本当にくしゃみするのかな?って思って」
と彼女に紙撚りを見せた。
「するんじゃないの?わからないけど」
と彼女が言った。
「じゃあ試してみよう」
そして僕は試してみることにした。
自分で試せばよかったものを、
彼女で試してみようだなんて
僕の悪戯心が騒ぎだしてしまった。
そして僕は彼女の顔に狙いを定めた。
彼女も僕の視線から考えていることを察知したんだろう。
僕が最初の一突きを試みようとするや否や、
彼女は僕の手を払いのけた。
「嫌!何するつもりなのよ!?」
と彼女に睨まれてしまった。
そのとき、僕は大人しく引き下がっておけばよかったんだ。
でも実際は違った。
絶対にくしゃみさせてやる!
そんなどうでもいい闘志が燃え上がった。
僕達は二人がゆったり座れるソファに並んで座っていた。
僕は今度こそしっかり狙えるようにと
彼女の方に体をすり寄せた。
当然彼女は反対側に逃げた。
でも、すぐに逃げ場所を失い追い詰められた。
それでも彼女は立ち上がって逃げようとはしなかった。
彼女は再び手で僕の攻撃を阻もうとした。
だから僕は彼女の両手をがっしり掴んで抑え付けた。
すると彼女は肘掛の方に上体を逸し、
僕から顔を遠ざけようとした。
さらに僕は逃げる彼女を追って、一段と近付いた。
彼女の上に重なるように抑え付け、
背けられた顔を左手で捕らえた。
気がつけば僕は彼女を無理矢理抑え付けていた。
でも、そのときの僕にはそんなつもりはなかった。
彼女が本当に嫌がっていることにすら気づけなかった。
ただ、僕はいつもの悪戯をしているつもりだったんだ。
まさか彼女が本気で、
全力で抵抗しているなんて思いもしなかった。
ただ、僕はそんなことにさえ気づかず、
軽々と彼女を抑え付けてしまっていた。
「嫌だ!直、やめて!!」
そう叫ぶ彼女の声も、はしゃいでいる僕の耳には届かなかった。
そして僕は、無意味に等しい抵抗を続ける彼女の体で
じっくり試してみた。

しばらくすると彼女は遂に小さなくしゃみをした。
僕の顔めがけて遠慮なく。
とは言っても、身動きのとれない彼女には
どうしようもないことだ。
もっとも、彼女のくしゃみを嫌がるような僕ではない。
本当にこんなことでくしゃみをするんだという発見、
彼女にくしゃみをさせたんだというちっぽけな征服感、
そのとき僕は少し舞い上がっていたかも知れない。
そんなときだった。
「もういいでしょ?早くどいてよ…」
いつのまにか抵抗をやめていた彼女が
力なく口にした言葉は涙でかすれていた。
僕の心を激しく締めつけるその声を聞いたのは
ずいぶん久しぶりなように感じられた。
「ごめん…」
そう言って僕は彼女の体からそっと離れた。
そして様子を伺うように彼女の顔をちらっと見た。
顔を抑え付けていた手を退けると彼女は
すぐに顔を背けた。
ほんの一瞬だったけど、彼女の目から涙が溢れていたことに
僕はやっと気づいた。
僕が退くと彼女も静かに体を起こし、
僕に背を向け俯いて座っていた。
泣いていたのか涙を拭っていたのか僕には見えなかった。
「ごめん…」
しばらくの間、呆然と彼女の背中を見つめていた僕は
もう一度言った。
その言葉に反応したように
彼女は黙って振り向き、赤く染まった目で僕を睨みつけた。
そして立ち上がった彼女は僕を蹴飛ばし
部屋から飛び出していった。
僕は相変わらずソファに呆然と座り尽くして
走り去る彼女の後ろ姿を見つめていた。
ただ、僕は自分の愚かさに絶望していた。
彼女に蹴飛ばされた右足はまったく痛まなかった。
けれど、彼女の軽蔑するように睨み突けた視線が
僕の心を突き破りそうだった。
彼女の溢れる涙、掠れた声、それが僕の自責の念を駆り立てた。
僕は彼女が本気で嫌がり全力で抵抗していたことに気づくのが
あまりに遅過ぎた。
ふと我に返れば、一人暗がりの映画館のスクリーンに
彼女のお気に入りのアニメが映し出されていた。
僕の心中など知るはずもないスクリーンの中の女の子は
明るく元気に喋っていた。
本当なら彼女と一緒に見ているはずだったのに…。
僕はどうしようもない馬鹿なことをしてしまったんだと、
後悔するしかなかった。

それから、僕は彼女の部屋のドアの前に立っていた。
ノックしてみても返事はなかった。
けれど、なかに彼女がいることは間違いなかった。
ドアの前から何度も真剣に謝ってみた。
けれどそれがどれほど彼女の耳に届いていたのか
僕には知る術もなかった。
さっき、泣き叫んでいた彼女の声が僕の耳に
聞こえなかったように、
僕の声も彼女には全く届いていなかったのかもしれない。
でもきっと、そのときの彼女には僕の声が
耳障りでしかたがなかったんだろう。
「早く帰ってよ!馬鹿!!」
そんな叫ぶような彼女の声が部屋の中から聞こえてきた。
一瞬、頭の中が真っ白にでもなりそうな言葉だった。
「本当に、ごめん…」
僕は最後にそう言い残して、
のこのこ帰った。

家に帰ってみても後悔することしかできず、
その日の夜は遂にほとんど眠ることはできなかった。


続く
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今回はかなり久しぶりの発行です。
1ヶ月以上は発行してなかったのかな?
本当はもっとこまめに発行したかったんですが…
思っていた以上にお仕事が忙しかったんです…。
まぁまだ大したお仕事はしていないのですが、
学生のときほど自由にできる時間がないんですよ…。
でもがんばって書いてみたした。
もっともっとペースアップしないと
お話が全然進んでないんですよね…。
書きはじめて1年以上も経ったのに、
二人はいまだに付き合い始めてもいないと言う
状況ですから…。
まぁとりあえずがんばってみます。

それにしても、今回のお話も
相変わらずダメダメだな~…
なんて落ち込んじゃいそうです…。
まぁでもその難しさが
面白かったりもするんですけどね。

そう言えば、現在の二人の状況を知りたい
なんてコメントを頂きました。
でもどうしましょう??って感じなんですよ…。
私も二人の近況がそんなに
はっきりしてるわけではないので…。
仲良く大学生やってるようですよ。

それにしても、
このお話を書くのは比較的楽です。
だって、次は何を書けば良いのかって
決まっているので、
ネタ詰まりなんて事にならないんですよ。
だから結構楽なんです。
ネタに詰まって詰まってどうしても出なくなっちゃうと、
やる気もでなくなっちゃうんですよね~…私の場合。
まぁでもあまりに膨大な日記があるので、
全部書くのは大変そうですけどね~…。
きっと読む方も大変なんでしょうね。

さて、次回のお話は、
二人が仲直りする辺りのお話です。
余裕があれば二人でデート、
なんて辺りのことまで書いてみたいですね。

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詩だったり語りだったり
自分の言葉で自分の思いを表しています

高校入学 楽しみと不安 部活
日頃の日記、笑い話、ショックな事
他にも色々と好きなドラマ 影響された事
「仲間」という大切さ 「絆」の強さ

普段バカやってふざけてるけどこれでも凄い真剣
真剣に悩んで考えて吐き出せなかったものが言葉となって此処にあります
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[終り]
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テーマ:戯言 - ジャンル:小説・文学

僕の彼女 15
相変わらずメールマガジン
そのまま掲載だよ。
相変わらず人気がなくても、
自己満足でやってることだから
止めないよ。
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こんにちは、mooです。
そして初めましての方は宜しくお願いします。
初めての方は、まず第一話から読んでもらえると嬉しいです。
バックナンバーはこちら。
http://moox.or.tp/fnikki/

今回も相変わらずな二人のお話です。
まぁでも徐々に進展しているはずです。

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僕の彼女 15

ある6月の静かな晴れた日の朝。
その日、僕は早起きをした。部活の大会があるからだ。
いつもならそろそろ起きる時間。
でもこの日は既に家を出て駅に向かって歩いていた。
荷物のつまった重い鞄を二人分持って。
「なお~、早くしないと電車が来ちゃうよ~!」
と先の方で叫んでいる彼女の荷物と、僕の荷物の二人分だ。
いつもの様に彼女の家に迎えに行って、朝御飯を御馳走になった後、
一緒に出発した。そのときまだ彼女は自分で荷物を持っていた。
でも、それも出発してから数メートルの間だけだった。
「なぉ~、荷物重い~…」
なんて彼女が言ったんだ。
それは、僕に荷物を持ってと言っているようにしか聞こえなかった。
もちろん僕にはそれを断ることはできなかった。
そして身軽になった彼女が言った。
「急がないと電車に乗り遅れちゃうよ」
そして、僕を置いて一人でぴょんぴょんと走って行ってしまった。
でも僕は自分のペースでゆっくり歩いた。
だって会場に着く前に疲れてしまいそうだから。
それに、彼女が寝坊をするのも、時間通りに出発できないのも
いつものことだった。
だから、実は彼女には一本早めの電車の時間を教えてあげたんだ。
彼女はすっかり慌てちゃってるけど、でもこれでいいんだ。
正に僕の予定通りなんだ。
駅に着いた頃には、もちろん電車は行ってしまった後だったけれど、
問題ない。本当は次の電車に乗りたいんだから。
でも彼女は少し怒っていた。
「直のせいで電車に乗り遅れちゃったでしょ!?」
だって。
本当の事を教えてあげると怒りそうだからそれは黙っておくことにした。
「大丈夫だよ、一本くらい」
と代わりに言ってみた。
「もぉ~、直ってホント、バカじゃないの!?」
と何も知らない彼女は少し飽きれたように言っていた。
でも大丈夫、全部予定通りなんだから。
彼女が寝坊をしたのも、僕に重い荷物を持たせてくれたのも、
電車に乗り遅れたのを僕のせいにするのも、全部予定通りなんだ。
それから改札口の前で
「まだぁ~?」
なんて言ってる彼女の分も、
僕が切符を買ってあげるのまで全て予定通りだ。

朝早くの電車。とは言っても平日だから、あまり空いてなかった。
それでもたまたま一つだけ空いた席。
もちろんそこに座るのは彼女だ。
そして僕は当然のようにずっと立っていた。
重たい荷物を二つも持ったまま。
目的の駅に着くと先輩達の姿があった。
きっと一緒の電車に乗っていたんだろう。
「上村君優しいね~、私達の荷物も持ってくれる?」
なんて挨拶代りに言われた。
駅からまだ少し歩かなければいけないのに、
この上更に荷物を持たせようとは、酷い先輩もいたものだ。
「ダメダメ、上村君が優しいのは美奈ちゃんだけだから」
なんてからかわれたけど、おかげで荷物が増えなかった。
僕がそんなことを言われている間、彼女は他の女の子と話していた。
「美奈ちゃんは軽そうでいいね」
なんて言われた彼女がとんでもない言葉を口にしたのが聞こえた。
「良いでしょ~??良かったら荷物持って上げるよ」
きっとそれは僕に荷物を押しつけるってことを意味していたはずだ。
「いいよ、自分で持つから。
美奈ちゃんも自分で荷物持たないと上村君が可愛そうだよ」
なんて優しいことを言ってくれる女の子も世の中にはいるらしい。
「直は平気だよ、自分で持ちたいって言ってたんだから」
なんて事を彼女が言っていた。
だから、結局会場まで僕が荷物を運んであげても、
「ありがとう」
なんて言葉は言ってくれなかった。
でも仕方がないんだ…。きっと僕が悪いんだ…。
そんな彼女のことを好きになってしまったんだから…。

我が水泳部もプールサイドに場所を確保しおわると、
僕もやっと一休みできた。
でも。それもほんの一瞬だけだった。
「早く泳ぎに行こ」
と彼女が誘ってくれるんだ。
せっかく彼女がそう言ってくれるんだから仕方がない。
それにウォーミングアップにプールが使える時間も
限られているから、今行くしかなかった。
いつもは他の男子共の前で水着姿になるのを躊躇っている彼女も、
今日は違った。
彼女は家から下に水着を着込んで来ていたらしく、
僕の目の前で制服を脱ぎ始めた。
こういう所じゃ服の下に水着を着込んでいるのも、
男女構わずプールサイドでタオルだけで生着替えをする人の姿も
決して珍しい光景ではない。
でも、下に水着を着込んでいるとは言え、
やっぱり僕の目の前で制服を脱ぎ捨てる彼女の姿は
ちょっぴりエッチな感じがした。
周りを見渡せばそんな光景は珍しくないけれど、
やっぱり僕にとっては彼女は特別だった。
それにやっぱり脱いでいるのが制服だから良いんだ。
もちろん、じろじろ見てたりしたら
「何見てるの!?」
なんて彼女に嫌われちゃいそうだったから、
こっそりちらちら見ていた。
ちなみに、水着を脱ぐときは、彼女は更衣室に行ってしまった。
それは恥ずかしくてできないらしい。
まぁドジな彼女のことだから着替え中にタオルを落としちゃいそうな
不安もあった。
僕だけが見れるなら嬉しいけれど、
他の男子共に見せてやるわけにはいかない。

そして肝心の大会は予想通り最悪の結果だった。
まずはリレーだ。
男子400メートル自由形。僕がアンカーを押しつけられたやつだ。
案の定、第一泳者から周りにずいぶん差をつけられていた。
周りに差をつけたわけではない。周りよりも遅くて、
ずいぶん差が開いてしまっていた。
第二泳者、第三泳者でもそのさを縮めることはできなかった。
いや、むしろ差はますます広がり、
アンカーの僕が泳ぎ始める頃には100メートルも
差をつけられていた。
それは即ち、僕がスタートする頃には、
周りは既にゴールしていると言うことだ。
周りと競い合って泳ぐはずのプールに一人で飛び込み泳ぐ虚しさ。
そしてようやくゴールしたときには
周囲からの哀れみの拍手…。
だから僕は嫌だったんだ。
にもかかわらず、他の3人は騒いでいた。
とりあえず出場できたことが嬉しかったらしい。
人の気も知らないで暢気な連中だ。
でも、彼女が心配そうに見てくれていたから少し嬉しかった。
もっとも、彼女も適当な言葉が見つからなかったのか、
なかなか声はかけてくれなかったけれどね。
やっと言ってくれた一言が
「直、ひょっとして手を抜いて泳いでたの?」
だった。
僕はその少し後に控えていた、自分の出番のために、
リレーをウォーミングアップに切替えたんだ。
だって明らかに張り切れるような状況じゃなかったんだから。
そしてその後、本当の僕の出番がやって来た。
100メートルの自由形。
今度こそ僕は頑張って泳いだ。
でもタイムの方は相変わらずだった。
最後に出場した大会が一年くらい前。
それから、今年の春まで全く泳いでいなかったことを考えれば、
相変わらずなのはむしろ良い方かも知れない。
そう思いながら、我が水泳部の場所に戻ったときだった。
「直、少し早くなったね」
なんて彼女が言ってくれた。
「え??そうなの??」
と僕は思わず聞き返してしまった。
「うん、0.12秒くらいね」
と言ってくれた。
僕は小数点以下のタイムまでは覚えていなかったのに、
どうやら彼女は覚えてくれていたようだった。
僕はそれが何だか嬉しかった。
早くなったのは嬉しいけれど、それ以上に、
それに彼女が気づいてくれた事の方がもっと嬉しかった。

そして彼女の出番は50メートルの自由形だけ。
僕は自分のタイムすら覚えていないのに、
彼女のタイムまで把握しているはずもなく…
「どうだった?」
としか聞けなかった。
「去年と同じくらい」
と彼女は言っていた。
彼女の出番はこれで全て終わった。
大会は明日もあるけれど、彼女はこの一種目にしか出なかった。

翌日も僕は早起きをした。
今日は出番のない彼女は本来なら行く必要はないのだけれど、
一緒に行くつもりらしい。
おかげで今日もまた僕が重い思いをするはめになってしまった。
出番がないのなら自分で持ってくれてもよさそうなのに、
なんて事は僕の心の奥にしまっておくことにした。

そして、ただ着いて来ただけの彼女はとにかく暇そうだった。
学校に行っていれば2時間で授業が終わって早く帰れるのに、
と不思議に思うくらい暇そうだった。
彼女は日焼け止めを塗ながら、先輩達のススンダ会話に
首を突っ込んでいた。
かと思えば、何時の間にか読書をしていた。
きっと彼女には先輩達のススンダ会話に着いて行けなかったんだろうと
僕は思った。
代わりに何の本を読んでいるのかと思えば、
絵のほとんど入っていない文字のびっしりつまった本だった。
彼女がマンガか参考書以外の本を読んでいる姿とは、
ずいぶん珍しいものが見れた。
なんて思っているうちに本を閉じて鞄に押し込んでいた。
やっぱりマンガじゃないとダメだったのかな、
なんて思いながら僕は彼女を観察していた。
今日の僕の出番はほとんど一番最後だから僕も暇だったんだ。
この長い時間に、彼女とおしゃべりを楽しもう、
なんて予定を密かにたてていたのに、
どうも先輩達がそれを許してくれない雰囲気だった。
ちょっと近付くだけで監視するような視線が集まるんだ。

そんな先輩達も、よほど暇だったのか、何時の間にか居眠りをしていた。
と言うより、むしろ昼寝だった。
シートの上に横になって、鞄を枕にしすっかり眠っていた。
さっきから眠そうにしていた彼女も、
「美奈ちゃんもお昼寝する?」
なんて先輩達に唆されて、一緒になって眠っていた。
いつもの可愛い寝顔の彼女。でも寝相はいつもとちょっと違った。
暑いせいなのか、寝心地が悪いのか、彼女の制服のスカートが
少し捲れ上がっていた。
いつもひざまで覆っている彼女のスカートが、
今日は太股まで露にしていた。
僕はそれが気になって仕方がなかった。
捲れ上がったスカートから覗く彼女のスリムな太股、
それは僕の視線を引き付けるのに十分なものだった。
でも、引き付けるのは僕の視線だけじゃないらしい。
周りには、飢えた獣の様な連中がいるんだから。
そんな連中の視線に、彼女の白くてスベスベで柔らかそうな、
思わずほっぺでスリスリしたくなりそうな
太股が晒されていると思うと、我慢できなかった。
だから、僕は眠っている彼女の太股を隠すように、
お腹の辺りに毛布をかけてあげようとした。
夏の競技とは言え、身体を冷やさないようにと持ってきていた
水泳部の毛布だ。
その一部始終をさっきまで寝ていたはずの先輩が目撃していたんだ。
「上村君優しいね~」
なんて冷やかされてしまった。
「そんなんじゃないですよ!」
と僕は反論しながら、もう一枚の毛布を
とって彼女の頭まですっぽり隠れるようにかけてしまった。
悪戯に見せかけたてれ隠しだった。
でも内心、つい彼女にかけてしまった毛布の事を後悔していた。
じっとしていても暑いくらいなのに、頭まで毛布で覆ってしまった
彼女は大丈夫かな?なんて。
本当はとってあげたかったんだけれど、
先輩達の視線のせいで僕は何もできなかった。

それからしばらくして、
気を紛らわせようと僕が読書を始めた頃だった。
彼女が目を覚ました。でも僕はまだその事に気づいていなかった。
彼女の目覚めをを知ったのは、
頭に丸めた毛布で殴られた衝撃が走ったときだった。
後ろからの不意打ちで、一瞬驚き振り向いた。
もちろんそこには怒った彼女の姿があった。
「もぉバカじゃないの!?こんなに暑いのに
毛布二枚も被せるなんて何の嫌がらせ!?」
なんて怒られてしまった。
良く見ると髪が額に張りつくほど彼女は汗をかいていた。
「でも美奈のパンツが見えそうだったし…」
なんて事は恥ずかしくって言えなかった。
「…ごめん…」
ただそう言うことしかできなかった。
でも、その直後にさっきまで冷やかしてくれていた先輩が、
僕に変わって真実を話してくれた。
それでも一度拗ねてしまった彼女は、なかなかご機嫌を直してくれず、
しばらく口を聞いてくれなかった。
きっとケーキでもあげればコロッとご機嫌になってくれたのかもしれないけれど、
プールサイドにケーキ屋さんはなかった。

そして大会も終わりに近付き、僕の最後の出番がやって来た。
50メートルの自由形だ。
彼女も、その頃には少しご機嫌を直してくれていた。
と言っても、相変わらず口は聞いてくれなかった。
ただ、僕がウォーミングアップのストレッチをしている間、
順番が回って来るのを待っている間、彼女は黙って着いてきてくれていた。
話しかけると顔を背けてあからさまに無視されたけれどね。
それでも、泳ぐ直前まで着ていたジャージを脱いだとき、
それを彼女が受け取ってくれた。
50メートルプールで50メートルの競技をやると、
わざわざスタート地点に脱いだジャージを取にこなければいけない。
でも、彼女のおかげでその必要はなくなった。
「頑張ってね」
なんて彼女の声が聞こえた。
はっと彼女の方を振り返ってみても、彼女はまた顔を背けていた。
でも、彼女の声が聞こえたのは気のせいなんかじゃなかった。
だから僕は嬉しくなった。そして更にやる気が湧いてきた。
彼女のために頑張ろう!なんてやる気だ。
別に僕の記録が良くても彼女には関係のないことかもしれないけれど、
彼女の一言で僕の心に闘志が燃えた。
でも、それくらいで簡単に体力の限界を超えられるほど世の中は甘くはなかった。
それでも、彼女の記憶によると去年より少し速くなったらしい。

それから程なく、閉会式を経て大会は一応終わった。
でも、本当の終わりは家に着くまで。
僕は再び彼女の荷物を持って歩くことになった。
でも幸い帰り電車は空いていて今度は僕も座ることができた。
二日間も早起きをしたせいか、疲れたせいか、
僕は何時の間にか眠ってしまっていた。
それからどれほど寝ていたのかは分からないけれど、
先輩に起こされて目を覚ました。
「もうすぐ駅に着くよ」
と言うことだった。
駅?その言葉を聞いた僕の頭は寝ぼけていた。
寝ぼけ眼で重さを感じていた肩の方を見てみると、
何時の間にか眠っていた彼女が僕にもたれかかっていた。
こんな嬉しいことがあるなら寝なければ良かった、
なんて考えているうちにようやく意識がはっきりしてきた。
そして気がつけばもうすぐ学校の近くの駅に着こうとしていた。
だから少し慌ててしまった。
だって本当は家に近い二駅前で降りるつもりだったのに。
でも寝過ごしてしまったものは仕方がない、
そう思って彼女を起こした。
「直のせいで乗りすごしちゃったでしょ!!どうして直まで寝てるのよ!?」
なんて、戻る電車が来るまでの間、彼女は怒っていた。
彼女よりも先に僕の方が眠ってしまったんだから、
彼女が眠っちゃったことは分からないことだと思うんだけれど、
僕が悪いって彼女が言うならきっとそうなんだろう…。
「ごめん…」
なんて僕は言ってしまった。
それから荷物を持って、彼女の家まで運び届けてあげた。
こうして、僕の高校生最初の大会は終わった。


続く
-------------------------------------------------------------------------
今回もまたぎりぎりの完成です。
って言っても、発行予定よりも既に
1週間遅れちゃってるんですけれどね…。
まぁ別に特別忙しかったとかって言う
理由があるわけじゃないんですけれどね。
ただ、新しく買ったバイクが納車されて、
嬉しくって乗りまくっていて、
メールマガジンを書く時間が
なかったっていうだけで…。
で、雨で乗れなかった合い間に書いて、
何とか完成させることができたっていう
やる気のなさです…。

それにしても…。何だか相変わらずの出来で…。
書いているときは調子よく進んでいた気が
したのですが、読み返してみると、
酷い出来だな~…って感じです。
でも今の私にはこれが限界です。
別に手抜きをしたわけでもないし…。
でも、少しずつ少しずつ仲良くなっていく
二人の様子が描けていればまぁ良いのですが…。

さて、次回のお話は、
嫌がる美奈ちゃんを直君が無理矢理抑え付けて、
美奈ちゃんを泣かせてしまう、
なんて辺りのお話を書く予定です。

そろそろ私的に面白くなって来る頃かもしれません。
私的に面白いというのは、
やっぱり暴走できるところですね。
あぁ~こんな事書いちゃって良いのかな??
ひょっとしたら良い子が読んで
くれているかもしれないのに~…
でもそこにあえて書いてみるのも面白いよね~☆
なんて妄想に胸を膨らませながら
書くのが楽しいんです。
そんな自分で書いたお話ですが、
実は自分で読んでも楽しめるんですよ。
何年後かに、何を書いたのか
忘れちゃった頃に読み返してみると、
なかなか楽しめるんですよ。
同時に、いろいろと手直しを
したくもなっちゃいますけれどね。
でも、書いているときは
面白いかどうかがさっぱり分からなくって…
いつもいつも、またダメダメなお話になっちゃった~
なんて思いながら書き終えています。


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僕の彼女 14
またメールマガジンそのまま
掲載だよ。
まぁ相変わらず人気がないしね。
おまけに、
メールマガジンでは発行したのに
ブログの方だけ
更新するの忘れちゃってたしね。
まぁでもとりあえず新しいお話だよ。
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こんにちは、mooです。
そして初めましての方は宜しくお願いします。
初めての方は、まず第一話から読んでもらえると嬉しいです。
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今回も相変わらずなかなか進展しない二人のお話です。
今回は、前回の続きです。
自分でも何を書きたかったのか良く分からないお話です。

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僕の彼女 14

これが彼女の浸かったお風呂か~、
なんて僕は湯舟に浸かりながら思っていた。
ここについさっきまで彼女が浸かっていたんだ、
なんて思うと僕は何だか嬉しくなってきた。
飲んじゃおうかな?なんて危険な発想が頭をよぎるほどだった。
僕は二番風呂。彼女が浸かっただけなんだから、
汚いはずがない!なんて、心のどこかで叫んでいる自分がいた。
僕はそんなに彼女のことが好きだったんだ…
なんて自分でも呆れてしまいそうなくらいだ。

結局僕は一口もお風呂のお湯を飲むことなく上がった。
僕はパジャマを着て、彼女の姿を探した。
と言っても、リビングで早速見つけた。
彼女はお風呂から上がってしばらく時間が経ったというのに、
まだ長い長い髪のお手入れをしていた。
「大変そうだね」
なんて僕は言ってみた。
「もう慣れちゃったもん」
と彼女が返してくれた。
「でも、直は楽そうだね」
とも言われた。
床にぺたんと座り込んだ彼女の髪は
もうすこしで床に届きそうなほど長い。
実はこんなに髪が長いのは校則違反のはずだけれど、
彼女は一度も注意を受けないらしい。
ここまで長く伸ばしたきれいな髪を、「切れ」と言うのは
やっぱり先生でも気がひけるのかな?
それに、彼女は超がつくほど真面目で成績優秀な、
所謂優等生だから先生も目をつぶっているのかもしれない。
そして僕は彼女のこの長い髪が好きなんだ。
まぁ彼女のことだから髪を切って短くしても可愛いはずだ、
と僕は思っている。
僕は長い髪の方が好きだけれど、
それ以上に彼女が好きだから、彼女がどんな髪型にしても
きっと気に入っちゃうんだろうな。
なんて思いながら、髪のお手入れをしている彼女の後ろ姿を見つめていた。

ほどなくして、お風呂から上がってきた妹に彼女は連れ去られてしまった。
僕の邪魔をしてくれるとは、まったくもって迷惑な妹だ。
仕方がないから僕は眼鏡と天体望遠鏡を持って庭に出た。
妹の部屋に連れて行かれた彼女の様子を天体望遠鏡で
外から覗いてやろうだなんて考えているわけじゃない。
ただ、夜空の星を眺めたくなっただけなんだ。
眼鏡をかけて空を見上げると、雲一つない星空が広がっていた。
それから僕はしばらくぼーっと星空を眺めていた。
それはずっと見ていても飽きることなく、
吸い込まれそうなほどきれいだった。
だから僕の視線も吸い寄せられていたんだ、首が痛くなるまではね。
僕は少し温かい春の夜風に吹かれながら天体望遠鏡を構えた。
そんなときだった。
玄関が開き、誰かが外に出てきた。
その服装を見て僕は一瞬妹と見間違えた。
と言うのも、妹のパジャマを着ていたからだ。
でも妹にはない長い髪に気づくと、
それが彼女だとすぐに分かった。
急なお泊まりで着替えを持っていなかった彼女は妹に借りたようだった。
彼女が小柄なおかげでサイズに問題はないように見えた。
妹にはない程の胸の膨らみがあるということをのぞいては。
「こんなところで何してるの?」
と言いながら近付いてきた彼女のパジャマ姿を見て僕はそんなことを考えていた。
「天体観測だよ」
と、僕は彼女の胸元からグッと視線を逸らして答えた。
「星、出てるの??」
と彼女は空を見上げて聞いてきた。
僕と同じくらい目が悪いのに眼鏡をかけていない彼女には、
星が全く見えないんだろう。
月だけが浮いている真っ暗な夜空、彼女の目にはそう見えているはずだ。
「眼鏡使う?」
僕は自分のかけていた眼鏡を外して彼女に差し出した。
「うん」
と言って受け取った彼女は、それをかけてもう一度夜空を見上げた。
そしてそのままの姿勢で彼女は言った。
「直の眼鏡、見難いね」
それは僕に合わせて作ったものだから仕方がない。
「でも、いっぱい星が出てるね」
と彼女が言った。
それから、
「ねぇ、これ覗いてみていい?」
と僕に眼鏡を返しながら言った。
「いいよ」
と僕が言うと、彼女は天体望遠鏡を覗き込んだ。
しばらくの間、彼女があまりに静かにじっと覗き込んでいるものだから、
よほど気に入ったのか、あるいは何か面白いものでも見えたのかな、
なんて思った。
でも、どうやらそうじゃなかったらしい。
「直、これ白い点しか見えないよ」
と不思議そうに彼女が言った。
「それでいいんだよ。遠くの星だしね」
と僕が教えてあげると、彼女はこう言った。
「なんだ、つまんないね」
それならもっと面白いものを見せてあげようと思って、
僕は望遠鏡の狙いを月に向けた。
「これはもうちょっと面白いと思うよ」
そう言って、彼女にもう一度覗くように促した。
「本当に??」
と、少し疑ったように言う彼女。
でも、望遠鏡を覗けばその態度は一変した。
「すごいね~…、こんなによく見えるんだ」
そう言いながら、しばらく望遠鏡から離れなかった。
そうやって腰を屈めて望遠鏡を覗いている彼女の後ろ姿を見つめていると、
ふつふつと邪な思いが湧いてきた。
薄暗い夜の中、パジャマ姿の彼女と二人っきり。
もしも今後ろからぎゅっと彼女を抱きしめたら……きっと怒るんだろうな…
なんて彼女の無防備な後ろ姿を見ながら考えてしまっていた。
もちろん、そんなことを現実に行うことができるわけもなかった。
しばらくすると、
「すごいね」
なんてながら彼女は望遠鏡から離れた。
そして何気なく夜空を見上げていた。
僕も、そんな彼女に寄り添う様に立って上を見上げながらドキドキしていた。
ドキドキしすぎて、意識が遠のく様な感じさえ覚えた。
そんなときにまた僕の口が勝手なことを口走っていたんだ。
「美奈は…キスしたことある…?」
僕はその言葉に自分でもびっくりしていた。
そして同時に後悔もしていた。
「えっ…!?」
と、小さく声を発した彼女ももちろん驚いていた。
それから考えるように少し間を置いて、
「うぅん…」
と彼女が声を漏らし、僕から顔を背けるように俯いてしまった。
それは肯定の意味にも、返答に困った悩みの唸りにも聞こえた。
そして彼女は黙り込んでしまった。
僕には彼女の表情は見えなかったけれど、
彼女の触れられたくない部分に触れてしまった事はすぐに分かった。
と、言うより、僕は前から薄々気づいていたんだ。
それなのに、迂闊にも触れてしまった自分が嫌になった。そして許せなかった。
まさか僕が彼女を傷つけてしまうなんて。
そんな自分の愚かさに呆然としている間も、
彼女はずっと黙り込んでいた。
そしてその沈黙は僕が破った。
「ごめん」
申し訳ないと言う思いを精一杯込めて発した一言だった。
でも、それ以外に言葉が見当たらなかった。
そして僕も黙り込んでしまった。
きっと一瞬の事だったかもしれないけれど、
僕にはものすごく長い沈黙に感じられた。
それから、
「うん」
と小さく彼女が頷いてくれた。
きっと僕がうっかり口を滑べらしたんだって、
少しは分かってくれたんだろう。
それから一呼吸おいて彼女は言った。
「私、先に中入ってるね」
そのとき僕に一瞬見せた表情は、悲しみを堪えているようにさえ思えてしまった。
そして彼女は僕から逃げるように家の中に入っていった。
残ったのはどうしようもない後悔の念だけだった。
それからずいぶんの間、立ち尽くしていた。
そしてその夜は、一度も彼女と顔を合わせることもなく、床に就いた。

なかなか寝つけなかったけれど、何時の間にか眠っていた。
気がつけばすっかり寝坊をしていた。
そしてもう彼女の姿はなかった。
僕が眠っている間に、黙って帰ってしまっていた。
やっぱり怒っているのかな?と思わずにはいられなかった。
謝らなきゃ!
僕はお小遣いを持って家を出た。
どう謝ったらいいのか分からなかったけれど、
とりあえず僕はケーキ屋さんに向かっていた。
彼女に許してもらうには、ケーキが必要だとなぜか思い込んでいたんだ。
ケーキ屋さんにはおいしそうなケーキがたくさん並んでいた。
僕が朝ご飯もお昼ご飯も食べていなかったから、
なおさらそう見えたのかもしれない。
そして僕は悩んだ。どれを買おうか悩んだ。
しばらく前の僕なら、悩みに悩んで一つだけ選び出していたんだろうな。
ケーキという僕の愚行の代償はあまりに高かったんだ。
でも、それは昔のこと。今の僕は違うんだ。
「これとこれください」
なんて、大きくて豪華でおいしそうなケーキを
値札も見ずに言えるようになったんだから。
それと言うのも、最近叔母ちゃんが使いきれないほどの
お小遣いを僕に握らせてくれるおかげなんだ。
でも、その使いきれないはずのお小遣いも、
彼女のためとなるとたちまちなくなってしまう。
僕はずっしりと重い、大きなケーキの箱を
両手に一つづつ持って彼女の家に向かった。

そして彼女の家のチャイムを鳴らした。
返事を待っている間、彼女が怒ってるんじゃないかと僕は不安だった。
いつもなら叔母ちゃんが出迎えてくれるのだけれど、この日は違った。
彼女は姿を表すなり言った。
「何しにきたの?」
大した用がなくても彼女の家を訪れている僕に対して
そんなことを聞くくらいだから、
彼女は怒っているんだろうと僕は思った。
「昨日は変な事聞いちゃってごめんね。
それを謝りたくって…ケーキも持ってきたんだけど…」
と言ってみた。
「ケーキ!?何考えてるの!?直って本当、バカね!!」
そう言い放った彼女の様子は、冗談を言っているようには見えなかった。
だから、その言葉に僕は絶望した。
迂闊にも口を滑べらした一言がこんな事になるなんて…
そう思うと、後悔しても後悔しきれなかった。
夢も希望も失ってぬけがら状態の僕を他所に、彼女は何かを喋り続けていた。
「ケーキ持ってくるんだったらもっと早く持ってきてよ!
もう3時過ぎてるでしょ!?もうたこ焼き作っちゃったのよ!!
たこ焼きにケーキって合わないでしょ!?バカ!!」
なんて彼女の言葉は、僕の耳には届かなかった。
「ごめん」
僕はそれだけを言うと、彼女に背を向け帰ろうとした。
「直、ちょっとまって!」
と、すぐに彼女に呼び止められた。
それから家の中に入れてくれた。
ダイニングルームに通されると、そこにはたこ焼きを頬張っている
彼女の妹の姿があった。どうやら、3時のおやつの最中だったらしい。
「直も食べるでしょ??」
と言うと、彼女は慣れた手つきでたこ焼きを焼き始めた。
僕は彼女の妹に呼ばれるまま、隣に座った。
状況がよく分からない僕は、何も言えず、
小さなたこ焼きプレートの上で
たこ焼きをころころ転がしている彼女をただ見ていた。
彼女の様子は怒っていないどころか、昨日のことなんて
すっかり忘れているようにすら見えた。
そして。
「はい」
と、焼き上がったたこ焼きを僕に差し出してくれた。
もちろんおいしく頂いた。

それから、彼女は早速ケーキを切りながら僕に聞いてきた。
「直はまだ帰らないの??」
だって。
「まだまだ帰らないよ」
と言ってみた。
「じゃあケーキも食べたいの??」
と聞いてきた。
「そうだね」
と答えた。
彼女の考えていることはよく分かった。
僕にひときれたりとも分けたくはないんだって事が。
彼女の小柄な身体のどこにこんな大きなケーキが
収まるのか不思議に思うところだけれど、
彼女はそれを企んでいるようだった。
でも少しは分けてくれたから、彼女の部屋でおいしく頂いた。
僕は嬉しそうにケーキを頬張る彼女を見ながら思った。
ひょっとして、昨日の夜のことは僕が思っているほど
彼女は気にしていなかったのかな?って。
彼女の部屋に置いてあった大量の僕のマンガを見つけて
それは確信に変わった。
昨日の夜まで僕の部屋にあったはずのマンガが、
何時の間にかここにある。
と言うことは、きっと彼女が今朝こっそり僕の部屋に入り込んで、
いつもの様に勝手に持ち帰ったんだろう。
やっぱり、彼女は怒ってなかったんだなって思った。
でも、よかった。こうしてまた彼女と二人っきりでケーキが食べれるんだから。
これはこれで十分幸せだった。
そして、心に誓った。もう二度とバカなことをしないでおこうと。
もっとも、そんな誓いをいつまでも覚えていられるほど僕の頭は良くない。
だってバカなんだから。


続く
-------------------------------------------------------------------------
今回のお話は、結局何が書きたかったのか、
自分でも良く分からないものになってしまいました…。
まぁきっとストーリー展開的には必要なお話なんでしょう。
今回も、なかなかお話を書く気が湧いてこなかった挙げ句、
もうすぐ配信時間の6時になろうとしている、締め切りぎりぎりに
書いてます。眠くって頭がおかしくなりそうです。
そして読み返してみると、
何だかよく分からないお話になってしまいました…。
でもせっかく書いたので、とりあえず配信します。
書く気が起きないのは、きっと私自身飽きちゃったからです…。
なかなか関係の進展しない二人の関係を書き続けることに…。
いい加減に早く、べったりくっつけてしまいたい衝動に
駆られるところですが、
そういう展開はまだしばらく先になりそうな感じです。

とりあえず、やっと卒業研究も終わって、
学校から解放されたので、頑張って書いてみたいと思います。

さて、次回予告です。
次回のお話は部活の大会のお話になりそうな感じです…。
このままではまたやる気が出なさそうです…。
ほんのちょっとくらいエッチな事でも書いて
気をまぎらわせたくなっちゃいます…。
まぁどうなるかは書くときの気分次第ですが、
あまり原作から外れない程度に…。
でも、その次辺りからは、
またやる気が湧いて来るかもしれない展開です、たぶん。

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僕の彼女 13
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こんにちは、mooです。
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今回も相変わらずなかなか進展しない二人のお話です。
今回は、話が長くなりそうなので、
途中で終わって次回に続きます。

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僕の彼女 13

最近僕は少しお金持ちになった。
と、言うのは、
最近叔母ちゃんが僕にお小遣いを握らせてくれるからだ。
叔母ちゃんも昔は僕の母親と同じ一般庶民の育ちだったはずなのに、
今じゃすっかりセレブな奥様をしている。
叔母ちゃんは庶民の金銭感覚を
忘れちゃったんじゃないかってくらいのお小遣いをくれるんだ。
おかげで僕は少しお金持ちになってしまった。
そして僕のお買物の仕方も少し変わってしまった。

馬鹿な僕がいつもの様にまた彼女を傷つけてしまったとき。
いや、その時は傷つけてしまったんだと
僕が思い込んでいただけだった。
それは、彼女が僕の家に泊まった日の事だった。

土曜日。
学校がないからのんびりできる日。
いつもは彼女を迎えに行くために早起きしているけど、
この日はそんな必要もない。
だからのんびり寝て、のんびり起きて、
のんびりお昼を食べる。
僕の家には、休日に朝食が出るという週間はない。
だから早く起きてもお腹が空くだけなんだ。
僕がそんな遅めのお昼を食べていると、叔母ちゃんが家にきた。
彼女も一緒に。
叔母ちゃんは大した用があってきたわけじゃなかった。
ただ僕の母親とおしゃべりをしにきただけだ。
きっと姉妹だと気兼ねなく話せるんだろう。
だから叔母ちゃんもあんなことが言えたのかな。
「お姉ちゃんまた手抜きしてるー!」
なんて、僕の食べてたお昼ご飯を見て叔母ちゃんが言ったんだ。
確かに、僕のお昼は手抜きご飯だったよ。
冷凍食品のとっても簡単なうどんを、
器に移し変えることもなく調理したお鍋のまま食べていたんだから。
「直君が可愛くないの!?」
って叔母ちゃんが怒ってくれていたよ。
僕は怒りを通り越して諦めていたのにね。
そして僕にこうも言ってくれた。
「いつでも家にご飯食べにきてね」
と。
それから、手抜きだとか、忙しいから仕方がないとか、
姉妹でもめてくれたおかげで静かにご飯が食べられなくなってしまった。
だから僕はお鍋を持って自分の部屋に疎開することにしたんだ。
姉妹の騒々しい争いに巻き込まれちゃ嫌だからね。
一人になれて静かなのはいいけど、
静かすぎるところで一人寂しくご飯を食べるのも好きじゃない。
だから、映画を見ることにしたんだ。
最近借りてきた映画を。

それからしばらくして、僕が映画の世界に入り始めた頃。
ドアをノックする音がした。
そして僕が返事をする間もなくドアが開き、
「直、何してるの?」
なんて言いながら彼女が入ってきた。
「映画見てるんだよ」
と僕が答えている間に彼女は
僕のベッドの上に飛び乗っていた。
「面白いの?」
と言いながら彼女は横になった。
その時、僕はパソコンの置いてある机に向かってお昼を食べていた。
なぜって、パソコンのディスプレイがテレビになるからだ。
そんな僕に向かって、彼女が当り前のように文句を言うんだ。
「直、そこ邪魔だよ。見えない」
ってね。
しかたなく僕は後ろにある、あまり使わない勉強机に移動した。
それはパソコンの画面と反対向きになっているから、
ときどき振り向かなきゃいけなくなってしまった。
でも彼女が文句を言うんじゃしかたがない。
そして僕がお昼を食べ終わった頃。
「この映画面白くないね」
と彼女が言った。
僕がこんなにまでして見せてあげていたのに、
彼女は何時の間にか枕元にあったマンガを読みはじめていた。
「映画見てるの??」
彼女の様子を見ればきっと誰だってそう問いたくなるはずだ。
すると彼女は言った。
「だって直のテレビ小さくってよく見えないでしょ?」
と。彼女は目が悪い。だから眼鏡をかけずに
ベッドの位置まで離れたから画面が見えないんだろう。
でも、それなら僕だって疑問が湧いて来る。
「どうせ見えないんだったら僕がわざわざ場所を移動する必要も
なかったんじゃないのかな?」
ってね。
「何!?文句言ってるの!??」
なんて彼女に睨まれてしまった。
「直の部屋のテレビが小さすぎるからいけないんでしょ!?」
なんて怒られてしまった。
確かにそうだ。
彼女の部屋の大きなテレビと比べるまでもなく、僕のは決して大きくはない。
でも、しかたがないんだ。
家は、彼女の家のように地下に巨大なスクリーンとスピーカー郡で
武装したような部屋のない、普通の中流の家庭なんだから。
「この大きさが普通だよ」
と僕は教えてあげた。
「直の家が貧しいだけじゃないの?」
なんて嫌味にも聞こえるような言葉が返ってきた。
でも違うんだ。彼女は本気で言っているんだ。
彼女の家こそが普通であって、
僕の家が貧しいと思い込んでいる子なんだ。
でもそれは今に始まったことじゃない。
昔からそんな子だったから、僕は気にしなかった。
そして、彼女も静かにマンガを読んでいることだし、僕また映画に見入った。

それから僕が映画の世界から戻って来るまで彼女は静かだった。
本当に静かだった。
きっと彼女もマンガの世界に入り込んでいたんだろうと僕は思っていた。
でも、ふとそんな彼女の方を見てみると、
俯せで頬を枕に押しつけ何時の間にか静かに寝入っていた。
なるほど、だから静かだったんだ。
年頃の男の子の部屋で二人っきりなのにぐっすり眠ってしまうとは、
相変わらず無警戒な彼女だった。
それとも、やっぱり僕は警戒が必要な相手じゃないと思っているのかな。
彼女がどういうつもりか知らないけれど、
僕は間違いなく、正常な年頃の男の子なんだ。
心の中には狼だってしっかり住み着いている。
だから、油断しきって眠っている彼女のことが気にならないはずがない。
僕は彼女をじっと見つめながら…、
いや、じろじろと舐めるように視線を這わせながら、
暴れる狼をなだめていた。
「少しくらい身体触ったって、スカートめくったって起きたりしないよ!」
とわめく狼。
「でもそれは…」
と必死で堪える僕。
「じゃあほっぺをつつくくらいならいいんじゃない?」
と囁やかれ、
「それくらいなら…」
なんて思ってしまった僕。
そして僕は彼女の顔を覗き込むように、ベッドの横にしゃがみ込んだ。
すると彼女の無垢で穏やかな寝顔が目に映った。
僕が彼女に対して邪な思いを抱いているだなんて知る由もない彼女は、
ただ幸せそうな可愛い寝顔をしてた。
ずっと目を閉じたまますーすーと静かに寝息をたてる彼女の顔を見つめていると、
僕の心から邪な考えが消えていった。
彼女の顔が再び悲しみの涙で濡れるような事はできないな、
なんて僕は思っていた。
確かにそう思ったんだ。その時、間違いなくそう思っていたんだ。
でも、またどこからか僕に甘い言葉を囁やきかけるやつが現れたんだ。
「ほっぺにチュッてしちゃうくらいいいんじゃない?」
なんて声だった。
「そのくらいじゃ起きたりしないよ」
とも言っていた。
「僕がこんなに彼女のことを想っているのに、無防備に寝ている彼女が悪いんだよ。
ほっぺくらいなら大丈夫だよ」
その言葉で、僕から迷いは消え去った。
「そうだよ、こんなに僕を惑わせる彼女が悪いんだ!」
なんて自分い言い聞かせながら、そっと顔を近づけた。
僕はドキドキしていた。でも心地良いドキドキだった。
彼女のかぐわしい香のせいかもしれない。
僕は、ゆっくりと顔を近づけていた。
今だかつてないほど間近で見る彼女の顔。
そして未知なる彼女のほっぺの感触。
もしも今彼女が目を覚ましてしまったら、という緊張さえ心地よく感じられる。
そのとき、僕がどんなまぬけな顔をして、不様な格好をしていたか
知る術もない。ただ、彼女の白くて軟らかそうなほっぺを一心に目指していた。
そんなときだった。
突然誰かがドアをノックした。
僕は驚いた。心臓が目一杯縮み上がったような気がした。
そして慌てて彼女から離れ、
何事もなかったかのように取り繕い、
平静を装って返事をした。
そのつもりだった。
そしてドアを開けたのは叔母ちゃんだった。
「美奈ちゃんいる?」
と言いながら入ってきた。
「うん…。さっきから寝てる」
と言った僕の様子は、ひょっとしたら少し不自然だったかもしれない。
「ごめんね、直君。美奈ちゃんがベッドとっちゃって」
と、彼女の長い髪を優しく撫でた後、叔母ちゃんが言った。
「うん…。いいよ、別に」
そう答えた僕は、少し後ろめたさを感じていた。
何だかそれを叔母ちゃんに見透かされているような気までした。
「お夕飯の用意しなきゃいけないからもう帰るね。
起きたら美奈ちゃんにも言ってあげてくれる?」
と叔母ちゃんはいつもの調子で言った。
「うん、分かった」
僕がそう言うと、叔母ちゃんは静かにドアを閉め、帰っていった。
さて、これで邪魔されずに彼女に悪戯ができる…
なんて、思ったりもしたけれど、僕はもはやそんな気分じゃなくなっていた。
彼女が傷つけば、あの叔母ちゃんもまた深く悲しむんだろうな。
やっぱり彼女を悲しませるなんて、二度と許せない。
ましてや僕がそんなことをするなんて。
そう思ったら、彼女に指一本触れられなくなってしまった。

それから、日が沈み、外が暗くなった頃、彼女はやっと目を覚ました。
僕がパソコンに向かっていると、後ろから彼女の声が聞こえた。
「直」
と。振り返ってみると相変わらずベッドに横になったままの彼女が、
僕の方を見つめていた。
きっとまだ寝ぼけているんだろうな、僕にはそう思えた。
「今何時?」
と彼女。
「もうすぐ七時だよ」
と僕は部屋の明りをつけながら言った。
彼女が目を覚ましちゃうんじゃないかと思うと、今までつけられなかったんだ。
「ママは?」
そう聞いた彼女の声は、何だか可愛くて甘えたような声だった。
それは今まで僕には聞かせてくれたこともないような声だった。
「帰ったよ。夕飯の準備するって」
僕は叔母ちゃんに言われたことを伝えた。
「ええぇ!?帰っちゃったの??」
と少し驚いた様子の彼女。
彼女を置いて帰ったと言っても、
歩いて5分もかからない距離なんだから何の問題もないはずなんだ。
ただ、既に暗くなっているところを彼女一人で歩いて帰らせるのは
心配だなっていうくらいだ。
「送ってあげるよ」
と僕は言った。
「いい!まだ帰らない!!」
と彼女は少し拗ねた口調で言った。
「でももう外も暗いよ」
と言っても、決して彼女を早く帰したいなんて思っているわけじゃない。
「パパかママが迎えに来るまで帰らない!」
なんて彼女はわがままなことを言い出した。
でも、僕の部屋に居座ってくれるなら大歓迎だけれどね。

そんなことをしているうちに、家の夕飯も準備ができたようだった。
「美奈ちゃんも食べていって」
なんて僕の母親が言った。
始めからそのつもりで準備していたらしく、
今日の夕飯は珍しく手抜きがなかった。と、言うよりも、
むしろ相当な力作だった。
そんなわけで、彼女は家でご飯を食べて行くことになった。
「おいしい?」
なんて僕の母親が聞いていた。
「うん、おいしい」
と答える彼女。
まぁ気合いをいれて作った料理がまずかったら僕が困ってしまう。
そして調子にのった母親が
身の程を弁えていないとしかいいようのない事を口にした。
「ママのと私のどっちがおいしい?」
なんて言い出したんだ。
普段から手間暇かけて料理を楽しんでいるような
叔母ちゃんの料理と、手抜き主婦が一度くらい頑張って作った料理じゃ
勝負になるわけがない。
その勝負の結果は、僕が一口食べたときから既に明らかだったことだ。
でも、わがままな彼女も御世辞というものを心得ていた。
「叔母ちゃんの方がおいしいよ」
なんて言っていた。
そのせいで、単純な母親はご機嫌だった。
それから僕と彼女はいつもの様にのんびりと夕食を食べた。

食べ終わった頃には、午後九時を過ぎていた。
それなのに、叔父さんも叔母ちゃんも迎えに来るどころか、
電話一つなかった。
だから、彼女も拗ねていた。
「パパかママが迎えに来るまで帰らない!」
なんて。
叔母ちゃんに置いて帰られたのが、そんなに気に障ったんだろうか。
そんなときだった。
「じゃあ今日はお泊まりしていく?」
なんて僕の母親が言ったから
「うん」
だなんて彼女もその気になった。
そうして、その日、彼女は家に泊まることになった。
僕は何だか嬉しかった。
彼女と一つ屋根の下、なんて思うと何だか嬉しかった。
別に僕のベッドで一緒に寝たりするわけでもないのにだ。
彼女は僕の妹の部屋で寝ることになった。
それは妹が彼女になついていたからだ。
「お姉ちゃん、一緒に寝よ」
なんてね。
でもやっぱり僕は嬉しかった。
だって彼女と一緒にいられるんだから。


続く
-------------------------------------------------------------------------
と、言うことで、続きは次回に続きます。

そして…私ショックです(>_<)
何だか今回のお話を書く気がなかなか湧いてこなくて…。
きっとなかなか二人進展しないから、
私自身飽きちゃっているのかもしれません。
そのせいで、何だかいつもの調子が出ない気がして…
まぁ気のせいかも知れませんが…。
でも、何だかいつもより更につまらないような気がして…。
って言うか、自分で読み返してみても、
今回のはいつも以上にダメダメだ~(>_<)
って感じです…。
自己満足で書いているのに満足が得られないんです…。
今回のお話はあんまり気に入っていません…。
なかったことにしたいくらいだけれど、
最近発行していないのでとりあえず発行しちゃいました。
やっぱり最近私疲れてるのかな?
卒業研究が忙しかったせいかな?
その一時的なものだったらいいんだけど~…。
このままかつての様な自己満足感が得られなくなると
ショックです…。
とりあえず、卒業研究の方は、
トラブルがなければ火曜日に終わるはずなので、
後は卒業式を待つのみです。
最近発行が滞った分も取り戻せるといいんですが…。

ちなみに、今回のお話はまだ6月のお話です…。
もっとどんどん進めたいのですが…なかなか…。
もっと二人の中を進展させたいのですが…
まぁそこは原作に沿って進めていく予定です。
その前に、私が満足できるものを書けるようにならないと…。
とりあえず、今日は疲れちゃった。
目も疲れたし、書いていて嬉しくないって言うのが
一番疲れちゃいました…。
私には休養が必要なのかな??


前回と同じアンケートです、よかったら協力してくださいね。
該当する回答のURLにアクセスするだけですから。
質問、「わがままな女の子は嫌いですか?」

わがまま大歓迎。何でも言うこと聞くよ
http://moox.or.tp/cgi-bin/q10/answer.rb?user=moo&no=13&answer=1
身体的に、経済的に痛くなければ嫌いじゃないよ
http://moox.or.tp/cgi-bin/q10/answer.rb?user=moo&no=13&answer=2
可愛ければ大歓迎
http://moox.or.tp/cgi-bin/q10/answer.rb?user=moo&no=13&answer=3
ほどほどなら構わない
http://moox.or.tp/cgi-bin/q10/answer.rb?user=moo&no=13&answer=4
嫌い、むかつく
http://moox.or.tp/cgi-bin/q10/answer.rb?user=moo&no=13&answer=5
黙ってオレに着いて来い!
http://moox.or.tp/cgi-bin/q10/answer.rb?user=moo&no=13&answer=6
私もわがまま言ってみたい
http://moox.or.tp/cgi-bin/q10/answer.rb?user=moo&no=13&answer=7
美奈ちゃん程度はわがままって言わないでしょ??
http://moox.or.tp/cgi-bin/q10/answer.rb?user=moo&no=13&answer=8
世界中の男共は私の前に平伏すのよ!
http://moox.or.tp/cgi-bin/q10/answer.rb?user=moo&no=13&answer=9
私は尽くすの
http://moox.or.tp/cgi-bin/q10/answer.rb?user=moo&no=13&answer=10


最後に、次回予告です。
次回は、今回のお話の続きです。
一緒に天体観測するとか、
直君が、美奈ちゃんを怒らせちゃったって
思い込んだりする辺りのお話です。

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神崎あきらの小説『親殺しのララバイ』
精神的に親から自立していない人間は自虐に走ってしまう
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[終り]
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